城下町のダンデライオン7話「王様は心配症・シークレットアイドル」の感想です。王様は仕事で1日家を空けることになり、茜が風邪で寝込んでしまい、栞も小さくて、奏しかいない状態を心配していた。警備の人をお願いしようとしていたのだが、奏に怒られてしまった。
「さっさと行かないと明日から無視するわよ」
「お前には財産と交換してどんな物でも生成してしまう能力がある。しかし何があろうと未知なモノだけは生成するな!」
いつまでも子供扱いされる奏だが、もう高校生なので少し子離れしないと駄目な王様。
王様は心配症
王様は家を出たのだが、やはり心配で、ある部隊に護衛をお願いしていた。奏は茜の様子を見に行こうとしたら、突然部屋から悲鳴が聞こえてきた。苦しんでいるのかと思ったら、漫画で登場したキャラが死んでしまったようで騒いでいた。
「ほら熱上がってるんじゃないの!薬持っていたからちゃんと寝てるのよ」
「今日のかなちゃん優しい」
「いつも優しいわよ」
「知ってる」
茜は奏が外でいい顔しなくても、素のままの奏で選挙に勝てると思うと伝える。葵に勝利するにはまだまた力が足りないと思っていた。部屋の外には茜を心配した栞が立っていた。奏と栞は茜のためにおかゆを作ってあげました。茜の体温は39℃を超えていたので、奏は万能薬を生成しようと考えていた。
「もし何か生成したら逃げるよ全力で!」
「絶対に使いません」
「だからうつるから来ちゃだめ」
「元気の出るおまじない」
「はにゃ~ん♡」
「お父様とお母様がやってたの」
奏が薬を生成しようとしているのを察した茜は逃げようとする。二人の会話を聞いて栞は部屋に入ってきて、茜の頬にキスをする。茜は興奮して倒れてしまった。栞は父と母がやっていたのを見て真似したようだ。
夜になり就寝時間になりましたが、奏と栞は絵本を読んでいて夜更かししようとしていた。二階で物音がして奏は異変に気が付く。奏は2階へ上がり茜は1階に降りてきたのだが、そうしたら2階で音がするのは一体何者だろう?
暗い部屋の扉を開けると男のシルエットが!奏はスタンガンを生成し男に押し当てる。悲鳴を上げて倒れたのは修だった。次の瞬間、修の悲鳴を聞いて緊急事態だと感じた部隊が自宅に突入した。
「茜様栞様の身を確保!浴室トイレ異常なし、ボルシチ様確保!奏様お怪我は?」
「建物内に脅威は認められませんでした…引き続き警戒を」
「あんたたちが脅威だ!代って貰えますか?」
「待て代わるんじゃないぞ!」
「信用してくれなかったんだ?もういいです帰ったら話し合いましょう…」
父が部隊に見つからないようにと依頼していたのだが、突入したことで知られてしまった。電話をしていると奏が父に一言。栞は独りで寝ることになり、奏は部屋を閉め出されてしまった。茜が寝ているのを確認すると、奏は茜の頬にキスをした。
「早く元気になりなさいよ」
奏は栞のことを心配して側にいると母だと思われて抱きつかれる。
シークレットアイドル
光は選挙活動の一環として始めた桜庭らいととしてのアイドル活動は、順調に進んでファンを獲得していった。事務所のマネージャーは、らいとのライブ映像を米澤紗千子に見せるのだが、評価はあまり良いものではなかった。アイドル活動を優先にしたため、学業の方が疎かとなってしまい小テストの点数は28点だった。
「平気平気まだ9割くらいしか本気出してないから!」
9割ってほぼ本気だしてるよね?1割ならいいけど。
ひかりは事務所で松岡と一緒に、先日行られたライブの反省会をしていた。おせんべいを食べながら答えようとしていたので、何を言ってるか分からなかった。頑張って説明しているにも関わらず、紗千子が事務所に入ってくると、馴れ馴れしく挨拶をして近づくのだが、紗千子は光を避ける。
「君には才能がある。だがそれに頼りすぎるきらいがある。もう少し基礎トレーニングを積んでだな」
「完璧にしろとは言ってない。アイドルは不完全でいいと思っている。一生懸命なところもあればダメダメなところもファンは応戦して」
「あ!さっちゃんおっはよ~♡」
「おはようございます…櫻田さん…」
「…照れやさんかな?」
思いっきり避けられたのだが、光は自分が避けられているとは受け取らず、照れているのだと思っていた。光と紗千子はマネージャーから今後のスケジュールについて話されるのだが、光は隣に座っている紗千子の手を握りながら話を聞いていた。紗千子はそうっと手を離そうとするのだが、光は紗千子の手を再び握り、自分の方へ引く。
紗千子の人気が十分あり、らいとは踏ん張りどころとして二人でツインライブを開催することになった。ユニット名は「さあち☆らいと」らいとを売り出すために紗千子との抱き合わせで行う。一人でも多くの人にライブを観てもらいたいため、1日限定で昼と夜の2回講演。
「あたしとさっちゃんが抱き合うの?」
「違います!」
「紗千子悪いが今回のメインはらいとだ。佐千子はサポートに回ってほしい」
「すごいねさっちゃん二人だけのライブだって、一緒に盛り上がろうね♡」
「櫻田さん私この前あなたのライブの映像拝見しました」
「本当ありがとう…で?どうだった?」
「正直言うと手を抜いているのが伝わってくる最悪のステージでした」
「へ?」
「自己満足で活動するのはファンに失礼です!中途半端な感情でアイドルをやるならハッキリ言って迷惑です!仕事である以上ツインライブはやらせていただきます」
紗千子の言葉にグサッときてしまった光は、ようやく自分が嫌われていることを自覚して落ち込む。佐千子は何のコネもなく才能もなく、地道な努力を積み重ねて、学業も手を抜かずに、下から這い上がってきた。それだけアイドル活動に本気だった。
「どんなに才能があっても努力なしの成功なんてありえない…志の違いを見せてあげるわ」
それ以降紗千子は光と口を聞いてはくれなかった。光は必死で紗千子に追いつこうと日々の基礎トレーニングを積み重ねた。
茜は光にライブに行って佐千子を紹介して欲しいとお願いするのだが断られた。ライブに来るのは自由だが光に近づかないように、王族だとバレたくないと全力でやれば、紗千子と仲直りできると信じ勉強も頑張った。学校の小テストは96点だった。
「つい本気を出してしまったまでよ!」
「まだフリが完璧ではないので、努力が才能に勝るってこと私が証明して見せる」
紗千子は完璧ではないと練習時間が終わっても残りひたすら練習していたのだ。
さあち☆らいと
ライブ開始時に紗千子は光に自分の想いを伝えるのだが、光は最高のライブにしようと前向きだった。
「櫻田さん今日のライブはあなたを売り出すためのもの、だからあなたには迷惑を掛けられない。でも私が歌うのはあなたのためじゃない。私と私のために集まってくれたファンのため。このライブを自分のものにするつもりで活かせてもらうわ!」
「あたしも頑張るお互い全力を出し切って最高のライブステージにしようね♡」
「調子が狂うわこれじゃ私が馬鹿みたいじゃない」
ライブが始まりものすごいパフォーマンスで会場は盛り上がる。昼の部が終了して二人とも疲れているが、佐千子の方が辛そうだった。マネージャーから話を振られるのだが、光は佐千子の様子が気になり聞き逃したことを素直に伝えた。
「最高のステージだった!この調子で夜の部も頑張ろう…らいとも…話聞いてたか?」
「え?あー聞き逃した」
「流石に1日2本はきついな…でも桜庭さんはまだあんなに…才能のせい?いいえ彼女も努力したから…!」
「才能のある人が努力したら?…嫌だ諦めない私だってもっと上に行けるもっと…」
夜の部の公演が始まり、紗千子は光が元気であることに気が付いた。もし才能のある人間が努力したら、才能のない自分は追い越されてしまうのではないか?そんな不安が集中力を乱しステージで転倒してしまった。佐千子は捻挫をしてしまい足が腫れあがっていた。
「佐千子今日はここまでだ。これ以上続けるのは厳しいそうだ」
「平気です!このくらいまだやれます」
「駄目だここで無理して悪くなったらどうする?十分頑張った…それはファンも分かってくれる。らいとアドリブで構わない残りのステージ全て独りでやってくれ!無茶なのは分かってるしかし…頼む」
「はい!やります!」
医者の判断でこれ以上ライブを続けるのは難しかった。佐千子は頑張ろうとするのだがマネージャーが止めた。佐千子は自分がこんなミスをしてしまったことを後悔していた。残りのステージは全て光が単独でやるようにお願いされた。光は自分の積み重ねてきた全てをステージで出し尽くす。
「みんなぁ待たせてごめんね後半も盛り上がって行くからしっかり着いて来てね!」
「まずはこの曲から!…失敗失敗それじゃ改めて新曲さあち☆らいと」
光はステージで転倒してしまうが、起き上がり新曲を披露する。ここからが素晴らしい演出になっていてキラキラ輝いていた。小倉唯の声は本当に可愛くて元気になれる。
「さっちゃん観てる?みんなすごい盛り上がってるよ!」
最高のパフォーマンスでライブ中に紗千子の名前を呼んだりして、ライブは盛り上がり幕を閉じた。佐千子は光が努力して成長した姿を見て謝罪するのだった。
「ごめんなさい…この前は酷いこと言って、自己満足でファンに失礼なのは私の方ね」
「そんなことないよ私が怠けたのは事実だし」
「ステージ素敵だったわでも楽しかった!やっぱりそれが一番大切なんだ」
「アイドルって完璧じゃなくていいんだよ」
「ダメダメでも一生懸命やり切れるかどうかだってみたいなこと松岡さんが言ってた」
「ありがとう…私あなたのこと誤解してた…あのこんなこと図々しいかもしれないけど、これからは良きライバルとして仲良くしてもらっていいですか?」
「さっちゃんと抱き合わせ一緒にアイドル会を駆け上がろう♡」
紗千子から思ってもみない言葉を言われ、光は感動して涙を流して抱きつく。この照れてる紗千子可愛い。そして光が一番可愛い。マネージャーが入ってくると抱き合っていちゃいちゃしている二人を観て困っていた。
「何?」
「不審者が楽屋近くをうろついているんだ」
「不審者?」
「まるで重力を感じさせないものすごい動きでスタッフも取り逃がしてしまったんだ」
「もしかして!」
不審者が現れたようだが、きっと茜だろう。マネージャーの話を聞きながらも光は紗千子に抱きついたままだった。
次回「佐藤さんが悩んでる・王様の寄り道」
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