とらドラ12話「大橋高校文化祭後編」の感想です。大河が亜美と交代して主役を演じようとしていたのだが、大河の父はプロレス公演に姿を見せなかった。ミスコンに向けての準備が始まり、大河は亜美に何かお願いしていたようだ。いつも励ましてくれる実乃梨の姿もなく、大河と竜児は父を信じて待っていた。
「あんたまだ親父のこと待ってんの?もう来ないんじゃない流石に」
「待ってるわけじゃないつーの…仕事のせいで遅れてるはずだから、お詫びに何か差し入れさせようと思ってるだけ」
「あんたの登場の台詞だけ変えた方よくない?」
「変えなくていいさっき打ち合わせした通りにして」
ミスコン
亜美は網タイツで司会を担当し体育館は盛り上がる。いつもの可愛い亜美ちゃんだが、急に黒い部分も出すのだが、クラスの人間は亜美の性格のことも知ってるだろう。それにしても亜美のこの格好は高校生とは思えないくらいの大人っぽい。
「皆さん静粛に…静かにしてくれないとお仕置きしちゃうぞ!だから…静かにしろって言ってんだよこの豚足共。飛べない豚はただの豚肉だから!…なんちゃって」
竜児の携帯電話が鳴り一通のメールが届いた。それは姿を見せなかった大河の父からだった。内容を確認すると顔色を曇らせる。
「大河に伝えて欲しいことがあるんだけど、いいかな?仕事の関係でちょっと出ないといけなくなってしまった。ちょっといろいろあって、また一緒に暮らすってこともなしってことで。お姫様に謝っておいてください。よろしくね」
これはあまりにも酷すぎる。生活費を振り込まず口座の残高0円にしたり、勝手に迎えに来て夕食に誘ったり、別れると言っていた女との関係はどうなったのか?
竜児は何故大河の父の言葉を信じたのだろうか?大河に父親が現れたことが寂しかった。大河が遠くに行ってしまうから。自分は迎えに来てくれないから。実乃梨はこうなると知っていたから怒ったのだ。何も見抜けなかった自分を責める。
大河がステージに上がると静寂に包まれた。いつもの怒った暴走する姿とは違い、ものすごく綺麗だった。亜美は計画通り進めると。
「今日は会場に逢坂さんのお父さんが応援にいらしてるそうです。よろしかったらお父様応援のお声をお願いします」
「…」
父の姿がないことを知り、大河は機嫌を悪くして振り向いた時に転んでしまう。スカートをビリビリに破りいつもの表情になる。誰も何も言わない体育館で竜児は精一杯の拍手を送る。すると後ろから実乃梨が涙を流しながら拍手を送り、みんなが拍手を送るのだった。
プロレスショーに姿を見せなかったことで、大河も不振に思い始めていた。何度も裏切られていたのだから、それでも竜児の言葉を信じ、今度こそは来てくれるのではないかと少しだけ期待していたに違いない。
「父親なんざ、ちぎってむしってモルグに捨ててやっぞー」
大河は叫んだ後に、バックの中に入り、自分の体が小さいことをアピールする。大河はミス大橋高校コンテストで優勝した。全校生徒から祝福を受けているが、竜児は大河が独りぼっちでいることに気が付いた。
「行かなくちゃ俺じゃ駄目かもしれないけど、それでも…」
「ミスコンが終わったら今度はミスターコンテスト審査方法はこいつだ!ミスター★福男」
「大河…」
狩野会長は文化祭を盛り上げるために最後にイベントを準備していた。グランド1周して1位になったら福男にはミスコンにティアラ贈呈とダンス、会長が3年間使用した全教科ノート授業中のメモと質問試験の答案だった。体育館は盛り上がり会長のノートを目当てに多数の参加者が出場する。
ミスター★福男
「福男なんて関係ない。どんな手段を使ってでも誰より何よりも早く…大河のところへ」
高須が本気になり大河のところへ行ってあげようと走り出すが、引っ張られて転倒してしまう。起き上がった高須は前方を走る生徒を掴んで後ろに引っ張り倒す。自転車置き場の通路が渋滞していると、生徒を足場に使いフェンスを走る。その後ろをもう追跡するのはソフトボール部のユニフォームを着た実乃梨だった。
TOPは竜児と実乃梨だった。亜美は竜児の姿を見てほほ笑む。
「高須君その人に会った時ちゃんと両目開けて見た?その目はちゃんと見えてたの?」
「その通りだ。俺は全部見落としてた。毎月の生活費すら振り込みで済ませて、大河の都合も考えずに好き勝手連れ回して、約束を反故にする謝罪さえ、俺宛のメールで済ませて、最初から大河のことなんて考えてなかった。そして…俺はそれを見抜けなかった大馬鹿野郎だ」
陸上部が突進してきて竜児と実乃梨は倒されてしまう。ソフトボールの部員がボールを投げ、櫛枝が渾身の一撃で陸上部にダメージを与える。後方から追いかけて来た数名に体当たりして竜児を助ける。
「櫛枝先輩これを!」
「うっしゃー!高須君行ってくれ!大河のために行ってくれ!誰よりも先にあたしより先に…」
倒れた実乃梨の手を握り置き上げる。二人は手を繋ぎながらゴールして大河にティアラを贈呈するのだった。
「そんなに心配しなくていいよ…見てたでしょ?独りでも立ち上がれるから、だから大丈夫…私のことばかり気にしないで、大丈夫私は独りで生きていけるから」
「文化祭大成功だな」
「はい会長の最後の文化祭」
「この学校の生徒会長でよかった。お前達と一緒でよかった。私はまだ野暮用が残っているお前は楽しんで来い」
文化祭キャンプファイヤーでフィナーレを迎え、竜児と美乃梨は仲直りする。1年前に大河の父が現れて一緒に暮らすと話があったのだが、今回のように突然姿を消した。だから美乃梨は竜児がかつての自分と同じことをしているから止めたかった。
「ごめんな高須君。お父さんの本性は知ってたのに高須君に黙ってた。大河あたしには何も言ってくれなかった。大河のことが本当に大切なんだ。だから嫉妬しちゃったんだね高須君に」
「どうして言わなかったんだろう?」
「言えばあたしが怒るから、大河はお父さんを悪く思われたくないんだよ。1年前から大河の家のこと何も話してくれない…あたし女の子の方が好きなのかな?こんな風に思っちゃうなんてさ」
「逢坂、独りなのか?もしよかったら一緒に踊ってくれないか?」
「まただ…どうして北村君はいつも…ありがとう」
大河を想う竜児と実乃梨は、子を想う父と母のような親子の関係に見える。最終的に大河は父に裏切られて傷ついてしまったが、傷ついた心を温めてくれる友人が二人もいた。竜児は実乃梨との関係を元に戻し、無事に文化祭の幕が閉じる。
次回「しあわせの手乗りタイガー」
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